第10集 腹心の悲劇果てしなく

 Magicがゲームとして成立する前提条件の1つが、ライブラリーのランダム性にあるのは言うまでもない。不確定要素という競技とは真逆の要素にも関わらず、高額の賞金が賞品になって10年以上になる。つまりプロや競技レベルにおいても、Magicのランダム性は当たり前となっている。もしMagicが、ラリブラリーは操作済みというルールだとしたら、ただのめくりあいに成り下がり、すぐに歴史から消滅しただろう。
 しかしこの事は、ランダム性を制御出来れば大いに優位になることを示している。ドローやサーチは正に、パワーカードを引く確率を上げる為にある。確実に引けるサーチカードが何枚も制限になっているのも、いかにランダム性が重要なのかの現れだ。逆に言うと、どう動くかわからないカードはなかなか使いにくいものだが、《闇の腹心/Dark Confidant》はVintageにおいても最も著名な例外だ

 何人ものプレイヤーがコストなしに手札を得る恩恵を受け、様々な大会で頂点へ上り詰めた。Vintage Championshipでも、2009年前と後で、TOP8使用率の差を見ればいかに恩恵をうけているのかがわかる。(*) 
 だがしかし、その影でデッキに殺された悲劇がいくつ繰り広げられたかを思わずにはいられない。
 この所謂ボブ死だが、Vintageでは一際目立つボブ死がある。そう、Tinkerのその先をめくることである。マナコストを踏み倒す為の《修繕/Tinker》なのに、その先がめくれた日には、大量のライフロスとTinkerのその先の消滅という二重苦に襲われる。
当然ながらライブラリー操作カードを投入し、打点を下げる活動は殆どのデッキがしている。それでもその先がめくれたら、運がなかったと諦めるしかない。打点を下げる為にTinkerのその先を抜く訳にはいかないのだ。

 ちなみに私の知っている分で、ボブ死の最も著名な被害者は他ならぬ作成者Bob Maherだった。彼は2010 Vintage Championshipの決勝でボブ死するのを世界中に配信されてしまうことになってしまった。

(*) 2008~2010のTOP8使用者とそのデッキ
 2008: 0
 2009: 伊藤裕道(Vault Control) 1位, Colin Wu(Drain Tendril) 2位, Devon Ducommun(Fish) 5位
 2010: Owen Turtenwald(Vault Control) 1位, Bob Maher(Vault Control) 2位, Ryan Glaskin(Dark Depth) 8位
 2011: Paul Mastriano(Gush) 2位, Stephen Menendian(Gush) 4位, Joseph Bogaard(Fish) 6位, Nick Coss(Dragon) 8位
 ちなみに2005年の決勝がStax対Giftsなので、同じクリーチャーが4枚投入されて、2年連続1位2位となったのは、2009~2010年が初だ。

コメント

アッツー
2012年7月28日20:43

毎回、大変面白く読ませて頂いております。リンクさせていただきました。

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